アルファリゾート・トマム拡張計画

                                                      1991 年 12 月 9 日

        北海道知事 様
                                     〒081 北海道上川郡新得町字新内西1線125
                                                    芳賀 耕一(農業・36才)
                                                   01566-4-6893

                        環境影響評価書に対する意見書

 次の特定開発事業に係わる環境影響評価書に関し意見書を提出します。

        1.特定開発事業の名称 アルファリゾート・トマム開発事業

        2.意見の内容

● 『アルファリゾート・トマムは、比類なきスピードとスケールで進化を続ける』
● 「着目すべき農家は無い」と言って追い出すのか
● 「ゴルフ場における芝の病害虫・雑草防除指針 −暫定版− 北海道」より
● 6月のスミチオン散布量が7・8月に比べて少ないのはなぜか
● どの程度の面積に対してスポット散布を計画しているか
● 『殺菌剤、殺虫剤、除草剤の使用量を極力抑える』と書いてあるが……
● 1990年農薬使用実績によると使用量の91%は雪腐病対策のキノンドーである
● 農薬使用計画からキノンドーをはずした理由
● 豪雨による農薬流出事故の可能性
● 架空の計画を説明しようとするから……
● ゴルフ場以外で農薬は使うのか使わないのか
● 既存ゴルフ場からの農薬流出データが評価書に無いのはなぜか
● ゴルフ場農薬問題についてのまとめ
● ゴミ処理は村に押し付けられたが……
● 水源確保の為なら、多額の歳出・自然破壊が許されるのか
● 防災ダム・洪水調整池は森林の代わりになるのか
● こんなに山を削っても『地形・地質の改変の程度は少ないもの』なのか
● ヘリコプターは環境に対し『あんまり大きな影響はない』のだろうか
● ナイター照明は鳥類等に大きな影響を与えるが……
● ザ・タワーの景観を判断するのは観光客か
● ヒグマ・エゾシカ・キタキツネが市街地に出て来る
● ヒグマは自然を守り、ヒトは自然に守られる
● クマゲラがいなくなった時、ヒトも滅亡への道を一歩進む
● 観光客は無限にやって来るのか
● 国有林を伐採してゴルフ場会員券を販売することが許されるのか
● 国有林を伐採しても、スキー場の夏・ゴルフ場の冬には賃借料も払わないのか
● 最後に

● 『アルファリゾート・トマムは、比類なきスピードとスケールで進化を続ける』

 これは北海道新聞掲載の全面広告に書かれている文章である。  久慈氏は説明会で
「私どもはやっぱり商売でございますから、宣伝ですから適当な言葉を使うわけです
けど……」と言い訳していたが、アルファリゾート・トマムを的確に表現している文
章である。アルファリゾート・トマムが「比類なき大規模な観光開発」を「比類なき
性急さ」で強引に進めながら『影響を最小化する』『極力保全する』『可能な限り保
全する』『調和を図る』『必要最小限の範囲に止め』などと書いてみても、その矛盾
は隠しようもなく、説明会での醜態・評価書内容のごまかしといった形で明らかにな
るのである。

● 「着目すべき農家は無い」と言って追い出すのか

 上トマム地区の事業予定地の中心部に農家があるが、営農を継続したいという強い
希望を持っている。アルファリゾート・トマムが地権者に無断で開発計画を提出した
のは、高額な買収金額を提示すれば買収できると考えたからであろうか。私は違うと
思う。村八分という伝統的ないじめにより精神的に追いつめ、追い出すつもりなので
あろう。すでに説得工作という名の圧力・歪曲された噂による村八分が始まっている。
これは重大な人権侵害である。子供に対するいじめに発展する恐れさえある。アルフ
ァリゾート・トマムは自然環境・生活環境を破壊するだけではなく、人々の心を破壊
している。かつてオンボロ車に乗って農家を励まして回ったという村長の姿も今は無
い。
 『クマゲラの営巣木が確認された場合には営巣木から半径 500m以内の計画を中止』
するのであるから、農家はクマゲラよりも軽視されていることになる。農業軽視の世
の中、「買収に応じれば、毎日刺身を食べて暮らせるんだぞ」などの説得にも心を動
かさず農業を続けたいと願う農民は、天然記念物・クマゲラよりも貴重な存在である。
『その生育環境を保全』すべきである。
 心優しい農民を追い出すのに必要なのは札束ではない。「こんな所では、もう生活
して行けない」という絶望感である。道がこの計画を認可すれば重大な人権侵害に荷
担することになる。

● 「ゴルフ場における芝の病害虫・雑草防除指針 −暫定版− 北海道」より
(1リットル = 1kg と仮定)
  農薬商品名 有効成分   (g/u)
農薬使用量
  (g/u)
有効成分量
  (g/u)
農地(同左)


グラステン水和剤 イソブロチオラン 20% 2.00〜3.33 0.40〜0.67 0.04
フルトラニル   25% 0.50〜0.83 0.07
ロブラール水和剤 イプロジオン   50% 0.67〜1.00 0.33〜0.50 0.03〜0.05
グランサー水和剤 トルクロホスメチル75% 1.33 1.00 0.03〜0.05
キノンドー80 オキシン銅     80% 1.25〜2.50 1.00〜2.00 0.10〜0.20
ダコグリーン チウラム     30% 4.00 1.20 0.32
TPN       50% 2.00 0.04〜0.08


スミチオン乳剤 MEP       50% 1.00 0.50 0.05
トクチオン乳剤 プロチオホス   45% 使用適用外 (0.45) 0.045


MCPP液剤 MCPP      50% 0.50 0.25 非農耕地用
バンベルD液剤 MDBAジメチルアミン50% 0.10 0.05 非農耕地用
 「ゴルフ場における芝の病害虫・雑草防除指針 −暫定版−」 はゴルフ場における
農薬多用を是認する根拠となっている。道は、農地同様の適正使用量を示した「正式
版」を早急に公表すべきである。
 アルファリゾート・トマムの農薬散布計画にあるトクチオン乳剤であるが、適用害
虫として登録されているのは道内で発生の無いシバツトガだけなので『「ゴルフ場に
おける芝の病害虫・雑草防除指針 −暫定版− 北海道」に基づく指導内容を遵守』す
るのであれば使用は認められないはずである。

● 6月のスミチオン散布量が7・8月に比べて少ないのはなぜか
ゴルフ場農薬使用計画(上トマム地区)      (kg/27ホール)
  農 薬 商 品 名 5月 6月 7月 8月 9月 10月 合計


グラステン水和剤 5   15   15   35
ロブラール水和剤   15   15     30
グランサー水和剤           10 10


スミチオン乳剤   13.5 15 15     43.5
トクチオン乳剤   15 15 15     45


MCPP液剤   6 7.5 8.5     22
バンベルD液剤   12.5 12.5 12.5     37.5


ゴルフ場農薬使用計画(奥トマム地区)      (kg/54ホール)
  農 薬 商 品 名 5月 6月 7月 8月 9月 10月 合計


グラステン水和剤 10   30   30   70
ロブラール水和剤   30   30     60
グランサー水和剤           20 20


スミチオン乳剤   27 30 30     87
トクチオン乳剤   30 30 30     90


MCPP液剤   12 15 17     44
バンベルD液剤   25 25 25     75
 農薬使用計画で6月のスミチオン散布量を7・8月より10%少なくしてあることは、
この計画が架空のものであることを露呈している。推察するに、奥トマム地区の使用
量を 30kg として計算したら流域 22・37 に於ける6月の農薬流出濃度予測が水質基

準値をオーバーしたために辻妻合わせで減らしたのだろう。同様に MCPP 剤の6月使
用量も少なくしてある。また夏の MCPP 剤使用を7月下旬・8月上旬に振り分けてあ
るのも辻妻合わせである。  7月16日から8月15日までの期間で農薬流出濃度予測を
すれば水質基準値をオーバーする。このような単なる数字合わせの計画に実現性は無
い。

    ※ 平均的な降雨による流出農薬の濃度予測

        農薬名      スミチオン乳剤
        有効成分    MEP 50%
        農薬流出率  5%とする
        水質基準値  0.01mg/l(厚生省の暫定的水質目標値)
        予測時期    6/1〜6/30 の1ヶ月とした
        平均降水量  6月の月別降水量(10年間平均)60mm とした
        農薬使用量  7・8月と同じ使用量とする
流域 雨水流出量 農薬使用量 農薬成分流出量 流出濃度予測
22 1348kl 0.56kg 14.0g 0.0104mg/l
37 1390kl 0.56kg 14.0g 0.0101mg/l
 
        農薬名      MCPP液剤
        有効成分    MCPP 50%
        農薬流出率  5%とする
        水質基準値  0.005mg/l(厚生省の暫定的水質目標値)
        予測時期    7/16〜8/15 の1ヶ月とした
        平均降水量  7・8月の月別降水量(10年間平均)の平均 141.5mm とした
        農薬使用量  表1-3-16(評価書 p.103)の年間農薬使用計画から求めた
流域 雨水流出量 農薬使用量 農薬成分流出量 流出濃度予測
35 3054kl 0.66kg 16.5g 0.0054mg/l
 
 ● どの程度の面積に対してスポット散布を計画しているか
(散布面積は農薬使用量を防除指針の中間値と仮定して算出)
  農 薬 商 品 名 対象地域 (u)
対象面積
(kg/1回)
農薬使用量
(u)
散布面積
面積比


ダコグリーン 1990年実績 810,000 2 500 0.06%
グラステン水和剤 上トマム 485,600 15 6,000 1.2%
奥トマム 910,500 30 12,000 1.3%
ロブラール水和剤 上トマム 485,600 15 18,750 3.9%
奥トマム 910,500 30 37,500 4.1%
キノンドー80 1990年実績 810,000 420 252,000 31.1%
グランサー水和剤 上トマム 485,600 10 7,500 1.5%
奥トマム 910,500 20 15,000 1.6%


スミチオン乳剤 上トマム 34,900 15 15,000 43.0%
奥トマム 75,600 30 30,000 39.7%
トクチオン乳剤 上トマム 34,900 15 15,000 43.0%
奥トマム 75,600 30 30,000 39.7%


MCPP液剤 1990年実績 810,000 32 64,000 7.9%
上トマム 450,700 8.5 17,000 3.8%
奥トマム 834,900 17 34,000 4.1%
バンベルD液剤 1990年実績 810,000 7.5 75,000 9.3%
上トマム 450,700 12.5 125,000 27.7%
奥トマム 834,900 25 250,000 29.9%
 スミチオン乳剤・トクチオン乳剤はグリーン・ティーグラウンド面積の40%、バン
ベルD液剤はフェアウェイ・ラフ面積の30%に散布するとの計算結果であるが、これ
をスポット散布と言うのは問題である。

● 『殺菌剤、殺虫剤、除草剤の使用量を極力抑える』と書いてあるが……

 計画によると1990年実績に比べて使用量が減っているのは、計画実現の裏付けが無
い雪腐病対策だけである。それ以外の農薬使用計画量は格段に増加している。「グレ
ードの高いゴルフ場」を目指して農薬を多用するつもりなのだろう。

● 1990年農薬使用実績によると使用量の91%は雪腐病対策のキノンドーである

 雪腐病に対して『農薬の使用は予防的な使用から対症的使用へと使用方法を転換す
る』(評価書 p.102)のは不可能である。新設ゴルフ場の雪腐病防除としては(防除
指針の散布量で計算すると)1ホール当り 278u(半径 9.4m の円面積)に対してグ
ランサーをスポット散布するだけであるが、この計画にどのような根拠があるのか。
『低農薬栽培が可能なコース作りを造成時に施工する』からと言うのであれば、サホ
ロリゾートの計画との隔たりはなぜか。おまけに、ゴルフ場に散水する水源を確保で
きなければ『排水性を向上』させる事が出来ないが、説明会での説明によると水源確
保の見通しが立っていない。

 説明会にて。

    事業者  「病気の発生を抑えると言うことで排水性を良くすると言うことで
            砂を入れますので当然それだけ散水量が多くいるという事となりま
            す。」
(単位 kg/18ホール)
  アルファリゾート・トマム サホロリゾート
1990年実績 評価書計画 評価書計画


ダコグリーン 2 - -
グラステン水和剤 - 23.3 64
ロブラール水和剤 - 20 84
キノンドー80 420 - 160
グランサー水和剤 - 6.7 49


スミチオン乳剤 - 29 25
トクチオン乳剤 - 30 -


MCPP液剤 32 14.7 7
バンベルD液剤 7.5 25 -
● 農薬使用計画からキノンドーをはずした理由

 農薬流出濃度予測を見れば、キノンドーを使用できないのは明らかである。問題な
のは、計画を守らずにキノンドーを使用しても罰則がまったくないことである。

    ※ 平均的な降雨による流出農薬の濃度予測

        農薬名      キノンドー80
        有効成分    オキシン銅 80%
        農薬流出率  5%とする
        水質基準値  0.04mg/l(厚生省の暫定的水質目標値)
        魚毒性      0.18mg/l(コイに対する 48時間半数致死量)
        予測時期    11/1〜11/30 の1ヶ月とした
        平均降水量  11月の月別降水量(10年間平均)の 109mm とした
        農薬使用量  1990年の農薬使用実績を元に面積比で算出した
流域 雨水流出量 農薬使用量 農薬成分流出量 流出濃度予測
35 2353kl 9.04kg 362g 0.1539mg/l
37 2526kl 8.81kg 352g 0.1394mg/l
32 7116kl 8.81kg 809g 0.1137mg/l
15 13823kl 37.85kg 1514g 0.1095mg/l
34 4254kl 11.41kg 456g 0.1072mg/l
18 25677kl 63.26kg 2530g 0.0985mg/l
20 12727kl 31.27kg 1251g 0.0983mg/l
24 1621kl 3.89kg 157g 0.0969mg/l
21 3345kl 7.78kg 311g 0.0930mg/l
31 31224kl 58.59kg 2344g 0.0751mg/l
28 41100kl 73.06kg 2922g 0.0711mg/l
16 26470kl 44.54kg 1782g 0.0673mg/l
23 4758kl 7.78kg 311g 0.0654mg/l
5 33443kl 50.61kg 2024g 0.0605mg/l
6,7 85868kl 119.73kg 4789g 0.0558mg/l
33 2867kl 3.94kg 158g 0.0551mg/l
29 7974kl 10.89kg 436g 0.0547mg/l
22 2449kl 3.32kg 133g 0.0543mg/l
4 68512kl 81.46kg 3258g 0.0476mg/l
26 9044kl 10.53kg 421g 0.0466mg/l
19 5603kl 6.17kg 247g 0.0441mg/l
30 43269kl 42.16kg 1686g 0.0390mg/l
27 12786kl 9.85kg 394g 0.0308mg/l
36 5082kl 3.87kg 155g 0.0305mg/l
25 6717kl 3.89kg 157g 0.0234mg/l
● 豪雨による農薬流出事故の可能性

 広島町での農薬流出事故は、

        使用農薬    オキシン銅 80%水和剤
        散布面積    30ha
        散布量      370kg(1.23kg/10a)
        希釈濃度    200倍(74t/30ha)
        降雨量      当日 48mm   翌日 13mm

        養魚場における最大検出値 0.128ppm(事故直後の濃度は不明)
        降雪を予測して農薬散布を行ったところ降雨になり農薬流出事故。

という状況で発生した。
 評価書では 123mm の降雨で農薬が100%流出したという仮定で予測を行っているが、
これは 61mm の降雨(広島町での事故時の降雨量)で農薬が50%流出すると仮定した
場合と同じ予測値になる。広島町事故時の農薬流出率については不明であるが、評価
書と同じ条件で流域別の農薬流出濃度を予測すると共に、オキシン銅を使用した場合
についても同様の予測を行った。なおオキシン銅の散布量については  1990年の実績
を元に面積比で算出した。
 参考のため調整池の貯水量についても併記したが、調整池が豪雨に対しては無力で
あることがわかる。
 オキシン銅を使用した場合に致命的な事故を引き起こす可能性がある事は明らかで
ある。一刻も早く、中トマム地区のキノンドー使用を中止すべきである。
 MEP・MCPPについても、水質基準値の10倍を超える流出が予測される。
 農薬成分によっては水質基準値を満たしているものもあるが、厚生省の暫定的水質
目標値はヒトに対する毒性しか考慮していないので、魚類・水生生物の生育環境を保
証するものではない。例えばオキシン銅の水質目標値 0.04mg/l では、かなり多くの
魚が死ぬであろう。

    ※ 集中的な降雨による流出農薬の濃度予測(殺菌剤)

        農薬流出率  100%とする
        水質基準値  厚生省の暫定的水質目標値/札幌市の示す暫定指導指針値
        降 水 量  30年確率の日雨量(占冠) 123mm とした
        農薬使用量  農薬使用計画による(オキシン銅については1990年実績)
流域 (kl)
雨 水
流出量
(kl)
調整池貯水量
流出濃度(最上段は水質基準値) (mg/l)
イソプロ
チオラン
フルト
ラニル
イプロ
ジオン
トルクロ
ホスメチル
オキシン銅
0.0400 0.2000 0.3000 0.0800 0.0400
35 2,655 424 0.0429 0.0537 0.1073 0.1073 2.7239
37 2,850 679 0.0393 0.0491 0.0982 0.0974 2.4730
32 8,029 1,339 0.0319 0.0399 0.0797 0.0803 2.0147
15 15,599 2,766 0.0309 0.0386 0.0772 0.0769 1.9412
34 4,801 867 0.0304 0.0380 0.0760 0.0750 1.9013
18 28,975 6,741 0.0277 0.0346 0.0692 0.0694 1.7466
20 14,364 2,303 0.0277 0.0346 0.0693 0.0689 1.7416
24 1,830 290 0.0273 0.0342 0.0683 0.0656 1.7005
21 3,774 615 0.0265 0.0331 0.0662 0.0656 1.6492
31 35,234 4,433 0.0211 0.0264 0.0528 0.0528 1.3303
28 46,379 5,583 0.0200 0.0250 0.0499 0.0501 1.2602
16 29,869 3,823 0.0189 0.0237 0.0474 0.0475 1.1929
23 5,369 795 0.0186 0.0233 0.0466 0.0461 1.1592
5 37,738 4,000 0.0157 0.0197 0.0394 0.0394 1.0729
6,7 96,896 5,900 0.0147 0.0184 0.0367 0.0368 0.9885
33 3,235 469 0.0155 0.0193 0.0386 0.0417 0.9743
29 8,998 1,460 0.0153 0.0192 0.0383 0.0383 0.9682
22 2,763 480 0.0152 0.0190 0.0380 0.0380 0.9613
4 77,312 10,600 0.0127 0.0159 0.0318 0.0317 0.8429
26 10,205 1,363 0.0131 0.0164 0.0328 0.0331 0.8255
19 6,323 660 0.0123 0.0154 0.0308 0.0308 0.7806
30 48,826 6,811 0.0110 0.0137 0.0274 0.0275 0.6908
27 14,428 1,782 0.0087 0.0109 0.0218 0.0218 0.5462
36 5,735 803 0.0087 0.0109 0.0218 0.0209 0.5398
25 7,580 1,011 0.0066 0.0082 0.0165 0.0158 0.4106
    ※ 集中的な降雨による流出農薬の濃度予測(殺虫剤・除草剤)

        農薬流出率  100%とする
        水質基準値  厚生省の暫定的水質目標値/札幌市の示す暫定指導指針値
        降 水 量  30年確率の日雨量(占冠) 123mm とした
        農薬使用量  農薬使用計画による

流出濃度 (mg/l)
MEP プロチオホス
0.0100 0.095
22 0.1013 0.0912
37 0.0982 0.0884
19 0.0870 0.0783
33 0.0866 0.0779
20 0.0776 0.0699
21 0.0742 0.0668
32 0.0691 0.0622
24 0.0683 0.0615
15 0.0612 0.0551
34 0.0583 0.0525
18 0.0576 0.0519
31 0.0552 0.0497
23 0.0522 0.0469
16 0.0519 0.0467
5 0.0480 0.0432
28 0.0479 0.0431
35 0.0452 0.0407
6,7 0.0362 0.0326
29 0.0311 0.0280
30 0.0311 0.0256
4 0.0283 0.0255
36 0.0279 0.0251
26 0.0274 0.0247
25 0.0218 0.0196
27 0.0194 0.0175

流出濃度 (mg/l)
MCPP MDBA
ジメチルアミン
0.0050 0.4000
35 0.0659 0.0960
37 0.0561 0.0825
32 0.0455 0.0673
15 0.0446 0.0654
34 0.0437 0.0646
18 0.0399 0.0587
20 0.0390 0.0571
24 0.0383 0.0574
21 0.0371 0.0543
31 0.0297 0.0437
28 0.0284 0.0417
16 0.0266 0.0392
23 0.0261 0.0382
5 0.0225 0.0323
29 0.0222 0.0328
6,7 0.0206 0.0307
33 0.0201 0.0294
26 0.0191 0.0279
4 0.0181 0.0266
22 0.0181 0.0271
30 0.0155 0.0227
19 0.0142 0.0214
27 0.0125 0.0184
36 0.0122 0.0174
25 0.0092 0.0132
● 架空の計画を説明しようとするから……

 10月31日に開かれた説明会において、オキシン銅の魚毒性が高いことについてアル
ファリゾート・トマムに確認できたので、今後の方針について質問したら  「1991年
からオキシン銅の使用を中止する」との回答を得た。ところが、その後のやりとりの
中で農薬使用実績の公表についても約束せざるを得ない状況になったため、翌日にな
って、

    事業者  「昨夜もご説明した事と同じ事でございますけれども、極力ですね、
            ご指摘のキノンドーにつきましては使用しないという事に変わりあ
            りません。ただしですね。現在、在庫量が若干ありましてですね。
            これを消化しなきゃならない。ご存じのように簡単に廃棄できない
            ものでございますので、それを今年は若干使わざるを得ないという
            ことが、ちょっとございまして、だから昨日の発言を訂正させてい
            ただきたいと思います。それ以降の使用については毒性の低いグラ
            ンサーでですね、使用していくという形で考えております。」
            「若干その在庫量という事についてのですね、数量の把握が昨日の
            時点でしておりませんでしたので」
            「(在庫量は)300kg 強あります。」

と、偽りを認めることになるのである。それでは、300kg 以上あるキノンドーはいつ
購入したものであるのか、農薬受払い帳の調査を求める。
 こんな姿勢であるから、それ以降の使用についても「(毒性の高い)キノンドーに
つきましては『極力』使用しない方針で考えておりましたが、……使わざるを得ない」
事になるのであろう。

● ゴルフ場以外で農薬は使うのか使わないのか

 説明会にて。

    村民    「ゴルフ場以外の場所においても、相当面積、芝生の面積が出て来
            るのではないかと、この様に思う訳でありますが、そのゴルフ場外
            の芝生の面積についてどの位になるのか、またゴルフ場外の芝生の
            管理に対して農薬は使うのか使わないのか、そう言った問題ですね、
            その点についてお尋ねします。」
    事業者  「芝の面積なんですけども、その面積につきまして今のところ私ど
            も数字持ってございません。」
            「現在の中トマムでもゴルフコース以外には、そういう薬を用いた
            管理はやっておりません。したがって恐らく奥トマム・上トマムで
            もそういう事はしないと思います。」
    道      「今の発言の中でですね、ゴルフ場の芝以外については中トマムで
            はやっていない。したがって上トマムの方についてもですね、恐ら
            く使わないであろうという、恐らくという表現があった訳ですけど、
            これについては使うのか使わないのかと言うことで回答して頂きた
            いと思います。」

    事業者  「今の所ですね、そういう計画は持ってございません。したがって
            芝生の面積がどれ位になるのかと言うことも、私どもゴルフ場以外
            にはですね、計算してございませんので」
    道      「私が聞いているのはですね。面積はともかくとして、ちょっとく
            どいですけども、ゴルフ場以外の芝について中トマムでは今はやっ
            ていないと、だから奥トマムでも恐らくやらないだろうという恐ら
            くという表現があったので、それはやらないというのであれば結構
            ですし、病気になれば焼くという手もありますのでね。そういう事
            で回答して頂きたいと。」
    事業者  「これは全然ですね、やらないという事は今断言はできません。や
            っぱり必要最小限度の措置はですね、やはり景観を維持したりです
            ね、(不明)を維持したりするためにですね、必要最小限度の事は
            やる事になるのでないかと、こういう風に考えます。」

 アルファリゾート・トマムが『恐らく……しないと思います』『そういう計画は持
ってございません』などと説明した場合、実際には『必要最小限度の事はやる事にな
る』という事が明らかになった。

● 既存ゴルフ場からの農薬流出データが評価書に無いのはなぜか

 アルファリゾート・トマムは中トマム地区ゴルフ場からの農薬流出濃度について測
定したデータを持っているはずである。ところが評価書ではまったく触れられていな
い。農薬流出の事実があるので明らかにできないのではないか。道は調査して公開す
べきである。

● ゴルフ場農薬問題についてのまとめ

 こちらは何もデータを持っていないので、アルファリゾート・トマム作成の評価書
のデータ・条件を用いて再評価してみたら以上の結果になった。アルファリゾート・
トマムの姿勢は説明会で明らかになった通りだし、評価の基礎となる農薬使用計画の
虚構性も明らかである。
 道は「ゴルフ場における芝の病害虫・雑草防除指針」を改訂して、中トマムなど既
存ゴルフ場における農薬使用をきちんと規制していくことが急務である。このままオ
キシン銅の使用を続けるなら農薬事故の再現となる恐れが大である。ダコグリーンな
ど魚毒性C類の農薬・殺虫剤・除草剤についても使用しないよう指導していくべきで
ある。これ以上、ゴルフ場を造成して環境を破壊することは許されない。

● ゴミ処理は村に押し付けられたが……

 説明会にて。

    村民    「評価書の中でゴミ処理に関して、不燃物について中央に投棄する
            と記載されていますが、現在中央の投棄する所は今年から中止にな
            っております。それはどういう風になるのか。それとあと可燃物に
            対してですが、現在あります湯の沢を使うという事が記載されてい
            ますけど、今二台がフル稼働していると聞いています。実際に上ト
            マム・奥トマムが開発されますと村民の何十倍というゴミが出て来
            るわけなのですが、それが実際に今の湯の沢で出来るのかどうか、
            その辺をお聞きしたいと思います。」

 事業者の回答は簡単なものであった。

    事業者  「ゴミ処理につきましてはですね。村の方にお願いをして処理をし
            ていただくと、こういう事になってございましてですね。村として
            ですね、必要な施設の整備に努めていただきたいと思っております
            が。もちろん私ども、それに要する経費についてはですね、それな
            りの、将来ですね、負担はやっぱりしなくてはいけないんじゃない
            かと、これはそうは思っております。」

 アルファリゾート・トマムは経費負担については『それなりの、将来ですね、負担
はやっぱりしなくてはいけないんじゃないか』と認めながらも、占冠村にすべての責
任を押し付けているのである。この『将来ですね』という言葉からわかるように、現
在アルファリゾート・トマムは経費負担さえ行っていない。
 それで道より村関係者に説明が求められたが、村関係者はなかなか答えられず説明
会が中断するのであった。

    村役場  「焼却型の処理施設があるのですけど、能力4t・2基稼働してお
            ります。ご案内の通り常に煙が出ている状態で能力的にも相当いい
            とこ行っているなと思ってます。村内から出るゴミにつきましては、
            ある程度予測できるものですから予算的に対応していって不便をか
            けないようにはして行きたいと思います。」
           「埋立と言うのは焼却した物をあそこに置いているという事で投棄
            はしていないという事でございます。」
           「2月の時点で中央地区の埋立地廃止したんですけど、そこの跡地
            整理の為に若干燃えないものを入れたという一時的な処理だと思い
            ます。」
            「先ほど申し上げました中央にある処理の所は閉鎖になっておりま
            すけれども、可燃物・不燃物とも収集して湯の沢で焼却して処理し
            ているわけですね。その残滓を中央地区に置いている訳なんです。
            一般の方はあそこに投棄しないで下さいという事を言っているので
            す。ですから火を通した物は中央の所には埋め立てはしている訳な
            のでございます。」

            「自己搬入する場合、生ゴミでもぽんぽんぽんぽん捨てられると衛
            生上良くないと言うことで、すべて村で収集して焼却して、そこで
            処理した物を今捨てていると。ですから個人的にあそこへ行って捨
            てないで下さいと、そう言ったことで閉鎖していますと言うことで
            区内を通じて回覧を出した訳です。」
    村民    「あそこのゴミ処理場は閉鎖することになっているんです。それで
            残土で埋めて、前の議会広報など村長の答弁からいうと9月中には
            確実に閉鎖になっているんですよ。閉鎖しているところに今度の事
            業所の説明ではアセスの中で中央へ投げると書いてあるから、これ
            はどういう事ですかと言うんです。これは事業者の方から説明して
            もらいたいと思います。」
    道      「先ほどの事業者さんの方の回答と言うのは、ゴミ処理については
            役場と協議の上で役場さんにおまかせをすると、ただ費用の負担の
            方については応分の負担をいたしますという回答だったと思います。
            そうなりますと処分地を作るのは誰なのかと言い事になってきます
            と、これは当然役場になります。それで私は質問をですね、事業者
            に振るよりもこれはゴミ処理の問題として役場に聞いた方がいいと
            言うことで役場に聞いているのですが、……。そう言うことで事業
            者よりは役場からのお答えの方がよろしいかと思います。」
    村役場  「私の立場では現在言える権限は無いわけですけども、ゴミの問題、
            今日的な問題と言うことで機敏に対応するとしか今の所ちょっと言
            い様がございません。」

 占冠村はアルファリゾート・トマムのゴミを押し付けられて処理が間に合わないの
である。処理しきれないゴミが現在どのように処分されているのか、占冠村のゴミ処
理の実態をまず詳細に調査すべきである。

    追記

     12月7日、占冠村によるゴミ不法投棄の実態が公になった。占冠村は告訴
    されるかも知れないのに、ゴミ処理の実態を知りながら経費負担さえ行わな
    かったアルファリゾート・トマムに責任は無いのだろうか。

● 水源確保の為なら、多額の歳出・自然破壊が許されるのか

 説明会にて。

    事業者  「上トマムの簡易水道事業につきましては現在占冠村の方で規模拡
            大に向けて計画を策定中でございまして、その結果に基づきまして
            供給を受ける計画でございます。」
    村民    「今、上トマムに計画中の2500t程度の飲料水のダムと言うのは地
            盤の問題で不適当であるという結論が村の方で出ていますね。それ
            とですね、ボーリングした地下水についても本当にどの程度使える
            のか、まだまだ調査をしないとわからないという状況であります。
            そうした中で、上・奥合わせまして 11300ベッドと言うような事に
            なりますと当然完成予定の平成9年までの間には東部地区の定住人
            口がこれもかなり増えて来ると予想されるのです。この開発が飲料
            水と並行した形の中できちっと進められなければ、飲料水の確保が
            出来ないのに開発を先行させてしまうと、これは後でとんでもない
            ことになってくるという風に考えられますが、そうした点について
            お伺いをして置きたいと、このように思います。」
    事業者  「水が無ければ人間生活できない訳ですから、水が確保できなけれ
            ば計画が遅れて行くという事になると思うのですね、当然に。した
            がってこれは村とも協議しておりますけれども水源の確保について
            はですね、いろいろ道の方にお願いして小規模生活ダムを、まあ前
            の場所が駄目であれば別の場所に出来るのかどうか、その他もろも
            ろの方策についてですね、これは村と、私どもばかりの問題でなく
            て村全体の人口も増えて行くわけでございますから、そういう物に
            合わせて水道計画を立てて行って、それに合わせて施設計画も当然
            進んで行くだろうと。水の無い所に施設だけ先行してもこれは使い
            物になりませんし、人が住めない訳ですから、こういう事は当然出
            来ないと思います。」

 地盤が悪くても強行するのかどうかは不明であるが、水源確保のために多額の税金
を使ってダムを作るつもりらしい。ダムに水没する農家は無いのであろうか。ダムが
できれば自然は確実に破壊されるのである。

● 防災ダム・洪水調整池は森林の代わりになるのか

 素人なのでよくわからないが『雨水流出抑制施設は、本事業の開発等に伴い増加す
る洪水流量(年超過確率1/30年)に対応して計画したものであり』(評価書  p.81)
とあるので試算してみた。
増加洪水流量 = 森林消失面積×0.123×(0.8−0.6) とした。
地 区 森林消失面積 30年確率降雨時
増加洪水流量
計画貯水量
金 の 沢 448500u 11033kl 6173kl
上トマム 1327800u 32664kl 47700kl
奥トマム 1614800u 39724kl 51202kl
 金の沢地区で洪水の危険性が高まるとの結果が出たが、計算方法に誤りがあるだろ
うか。また、防災ダム・洪水調整池というのは、普段は貯水量ゼロなのであろうか。
 計算上森林消失面積を補えても、防災ダム・洪水調整池より上部において水害の危
険性が増加することは間違いない。

● こんなに山を削っても『地形・地質の改変の程度は少ないもの』なのか

 評価書 p.176 にわからない所があるのだが『81ホールでは612万立方米』というの
はどうやって算出した数字なのであろうか。こちらの理解力が不足しているのか、評
価書の単純ミスか、あるいはデータねつ造の残骸と思うのは勘ぐり過ぎか。
 奥トマムのゴルフコースは全面積に対して平均2m以上も切土・盛土をするのであ
る。上トマムも78%の面積について平均1m以上の切土・盛土をする事になっている。
これでも『地形・地質の改変の程度は少ないもの』というのがゴルフ場造成の常識な
のだろうか。これで『環境保全水準は維持されるものと考えられます』というのでは
価値観が違いすぎて論議にならない。
  切土面積 切土量 平均厚 盛土面積 盛土量 平均厚
上トマム 19.76ha 195,000kl 99cm 18.05ha 225,200kl 125cm
奥トマム 73.89ha 1,754,400kl 237cm 68.40ha 1,697,800kl 248cm
● ヘリコプターは環境に対し『あんまり大きな影響はない』のだろうか

 説明会にて。

    事業者  「ヘリポートは公共ヘリポートでございまして占冠村が設置した物
            でございます。安全性の問題については航空法の基準その他すべて
            クリアーして設置されておる訳ですから、その問題はなかろうかと
            考えております。このヘリポートの設置目的でございますけれども、
            私も聞いている所によりますと一つは緊急用ですね、もう一つはも
            ちろんリゾートでございますからリゾート需要に将来対応するもの
            じゃないかと考えております。現在の利用状況でございますけれど
            も私どもヘリコプターを持っておりますので現在は希望するお客さ
            んに乗っていただくという事、あるいはVIP等で急ぎの方を千歳
            空港の近くからあるいは丘珠等から時折輸送するという程度の利用
            でございます。将来コミューター時代がまいりますと、営業的にこ
            れをやる事があるのかも知れませんが今の所はまだその段階に至っ
            ておりません。それからサホロ等の農道空港との関連でございます
            が、私どもその関連について考えたことは一度もございません。そ
            れから、動物等に対する影響ですが、まああんまり大きな影響はな
            いんじゃなかろうかという風に実は考えておる次第でございます。」

 ヘリコプター騒音が動物等に対して『あんまり大きな影響はない』とはずいぶん無
責任な発言である。
 アルファリゾート・トマムは多くの設備を公共事業として占冠村に作らせてきた。
特に公共性が低いヘリポートなどは事業者が負担すべき物であり税金を使う事は許さ
れない。

● ナイター照明は鳥類等に大きな影響を与えるが……

 説明会にて。

    事業者  「私ども、これから開発いたしますスキーコースについて、ナイタ
            ーは考えておりません。したがって夜電気をつけるというところま
            では考えておりませんので、そういう事はないだろうと、こう思っ
            ております。」
            「スキー場のナイター営業の関係でございますけれども、上トマム・
            金の沢ではまったく考えてございません。それはやる必要が無いと
            私ども考えておりますので。ただ中トマムにつきましては宿泊施設
            との関連・夜間スキーに対する需要等から考えておりますので、中
            トマムにおいてはナイター営業は続行すると、こういう考え方でご
            ざいます。」

 ナイター照明の環境への影響については、アルファリゾート・トマムが『ナイター
営業はまったく考えておりません』と言うことで環境アセスメントの評価項目からは
ずしたわけである。アルファリゾート・トマムにきちんと約束を守らせるために、道

の指導監視が必要である。

● ザ・タワーの景観を判断するのは観光客か

 説明会にて。

    事業者  「私共は違和感は無いと思っておりますから。非常にマッチした建
            物だと、こう思っております。そしてしかも、あれだけの規模のも
            のを横に並べると言うことは緑を失うということにもなりますし、
            やはりそれともう一つは、利用者がどう評価するかという問題もあ
            ると思うのですね。リゾートというのはやはりリピーター、何回も
            同じ人に来て頂かなければリゾートとしては成功したとは言えない
            と思いますから。もし、それが見苦しい建物だと、景観にマッチし
            ていないという事であれば二度とトマムは行きたくないという事に
            なるんじゃないかなと、私はそういう風に感じております。ですか
            ら、それぞれの感覚の問題ですから、私共としては非常に景観にマ
            ッチした建物だという風に考えております。

 「占冠村トマム地区 景観形成基準」より。

     当地区は、南北にはトマム山を始め多くの山々が連なり、針葉樹がそびえ
    立つ美しい山岳風景を呈している。又、山岳地帯に囲まれた平坦地には、静
    かで豊かな農村景観が広がっている。
     村民等はお互いに協力して、この自然景観を将来にわたって引き継いでい
    かなければならない。

 針葉樹に代わってザ・タワーがそびえ立ち、『静かで豊かな農村景観』をゴルフ場
で壊そうというのは、景観形成基準を満たしていない。

● ヒグマ・エゾシカ・キタキツネが市街地に出て来る

 説明会にて。

    事業者  「依然としてエゾシカはおりますし、キタキツネもこの頃はずいぶ
            ん頻繁に出ておりますから。あるいはヒグマも今年はどういう訳か
            私どもトマムの中トマムにも数度、あるいは上トマムにもヒグマが
            市街地にまで出てきているという風に聞いておりますし、エゾシカ
            なんかも非常に増えているせいかも知れませんが、ずいぶん余計見
            えるようになった様に感じております。」

 私は動物の生態について無知であるが、野生動物本来の生育環境が開発により破壊
されたから市街地に出て来ているというのが常識的な考え方だろう。放置ゴミの存在
も関係しているのかも知れない。これ以上開発を進めることは、野生生物の生活環境
を破壊すると共に、ヒグマによる人的被害やエゾシカ・キタキツネによる農業被害も
増大させるだろう。

● ヒグマは自然を守り、ヒトは自然に守られる

 説明会にて。

    事業者  「一緒に生活できれば一番いいんでしょうけども、熊はちょっとそ
            ういう訳にもいかんでしょうから、私ども直接どうこうする事は出
            来ないんですけど、やっぱり道の示します駆除方針にのっとって猟
            友会の方にお願いをして適切な処置を講じてもらうしかないと思う
            のですけど。」

 ヒグマのテリトリーを勝手にスキー場・ゴルフ場にしてしまい、一緒に生活出来な
いから撃ち殺すと言うのはむちゃくちゃな話である。ヒグマが山に住んでいることで
自然が守られているのである。

● クマゲラがいなくなった時、ヒトも滅亡への道を一歩進む

 「一般的に見られる○○」は消失しても構わないけれども「着目すべき○○」は守
るという環境保護のあり方に、私は大いに疑問がある。しかしクマゲラの生育環境を
守ることはすべての生物の生育環境を守ることにもつながるので、クマゲラについて
調べてみた。……と言っても資料がある訳でもなく図書館で借りた『天然記念物エゾ
シマフクロウ・クマゲラ特別調査報告書/北海道文化財保護協会』だけが頼りである。
たぶん評価書もこの本を参照したと思われるので、まず評価書が参照したと思われる
部分を書き記す。

     森林に生きつづける動植物は、個々バラバラにあるのではなく、相互にき
    わめて複雑に関係しあっていることを再確認し、森林生態系を基調とした森
    林管理のあり方を追求することが急務であると考える。
     2年間の調査と、これまでのクマゲラに関する調査を参考に、以下にクマ

    ゲラの保護を考える場合の重要点をいくつか列記し、報告を終りたい。
        1)  現状の森林(特に針広混交林)をできるだけ維持し、大面積に
            わたる伐採をさける。
        2)  森林内の胸高直径が 50cm 以上、下枝高が 13m 以上あり、 樹
            幹が通直でその表面がなめらかな樹木は、営巣木として好適な
            ので伐採せず残す。
        3)  クマゲラは同一の巣孔を通年使用する習性をもち、さらに繁殖
            のためには数100ha のテリトリーを必要とするので、営巣木を
            確認した場合は、少なくとも半径 500m の範囲内は一切伐採し
            ない。
        4)  冬期の採餌源として重要な意味を持つ、すでに採餌跡のある立
            木は伐採せず、そのまま残す。

 上トマムにおけるクマゲラの確認位置は、いずれも間近にスキーコースなどが計画
されている。クマゲラはスキー観光客にドラフトの音を聞かせてくれるほど人間を恐
れないのだろうか。
 評価書には『胸高直径 50cm 以上で営巣に適した樹木やねぐら木としての利用が高
いシナノキを極力残す』とあるが、上記の文献には『(営巣木やねぐら木は)トドマ
ツ・ダケカンバ・ハンノキ・エゾバッコヤナギなどを確認』と書かれている。
 クマゲラが、これだけの開発を行っても繁殖できるのであれば、天然記念物に指定
されるような事にはならなかったであろう。

● 観光客は無限にやって来るのか

 説明会にて。

    道      「最小と言っているのと比類無きスピードでこのままどんどんやる
            のかというのは、ちょっと答えづらい面もあるのかも知れませんが、
            どうですか考え方として。」
    事業者  「まあ、これは私どもはやっぱり商売でございますから、PRと言
            いますかね宣伝ですから適当な言葉を使うわけでございますけれど
            も、言ってみれば明確なですね、目的意識と申しますか、コンセプ
            トの元にですね、施設の展開を計って行くという意味においては、
            その新聞の広告に載った言葉の通りだと思いますけれども。私ども
            はやはり常にですね、需要との見合い、経済動向等を考えながら、
            これは進めて行くわけで、入り込みもお陰様で順調に推移してござ
            います。まあ例えばサホロが去年のスキーシーズン落ち込んだと言
            うことでございますけれども、これはやっぱり雪不足でございまし
            て、私どもも決して去年は増えてはおりません。やはり12月下旬ま
            でですね、実質的にスキー場がオープン出来なかったという事もご
            ざいますから、そういう意味ではやはり去年は決して増えてはおり
            ません。」

 雪不足により観光客が増えていないのが『順調に推移』している事なのだろうか。
10年位の間に雪がこんなに降らなくなったのである。これ以上自然破壊を進めて行っ
たら、10年後にはスキーどころではなくなるだろう。
 ゴルフ人口・スキー人口が、このままどんどん増えて行くとは考えづらい。もしも
アルファリゾート・トマムの集客力が強くてどんどん拡大して行ったら、各地でスキ
ー場・ゴルフ場の倒産が相次ぎ社会問題となるだろう。

● 国有林を伐採してゴルフ場会員券を販売することが許されるのか

 説明会にて。

    事業者  「会員券の問題についてお答えいたします。上トマムに計画してい
            るものはパブリックを予定しております。それから奥トマムについ
            ては、これはセミパブリックと言うことで、林野庁のご方針もござ
            いまして、純粋のパブリックでは非常に困難と言うこともございま
            してセミパブリックという形で考えております。」

 よくわからない説明である。林野庁は「パブリックにしなさい」との方針だが「純
粋のパブリックでは経営が非常に困難だからセミパブリックにしたい」と言うことな
のであろうか。セミパブリックの定義は曖昧なので拡大解釈して一儲けする事を企ん
でいるのであろう。
 上トマムは『パブリックを予定』というのも信用できない。批判を少しでも和らげ
るために「(1994年着工予定の)上トマム地区ゴルフコースはパブリック」と適当な
事を言ったのではないか。来春着工予定の奥トマム地区ゴルフコースについては、さ

すがに嘘は言えないだろう。
 国有林をゴルフ場にする事は断じて許されない。

● 国有林を伐採しても、スキー場の夏・ゴルフ場の冬には賃借料も払わないのか

 説明会にて。

    事業者  「季節的な貸付だと思うんですね、スキー場の場合。一年中お借り
            するんではないんじゃないのかなという風に私承知しております。
            貸付料もですね、季節数でたぶんお払いしているはずでございます
            ので、だからスキーシーズン終わりますとですね、もっぱら営林署
            の管理下にあるんじゃないかと思いますが。」
    道      「今はどうなんですか。」
    事業者  「今はそうなんですね。」

 国有林を伐採してスキー場にしてもアルファリゾート・トマムは冬の間だけしか賃
貸料を払わないのである。スキー場のために伐採された山は、保安林としての役目も
生産林としての役目も人の心を和ませる役目も放棄して、夏の間は醜い姿をさらすだ
けなのに。

● 最後に

 狩勝高原サホロリゾート開発事業に関する協議会の準備に追われていて、この意見
書作成が遅れてしまった。締切なので、まだまだ書き足りない点が多いが提出する。
 サホロリゾート開発について多くの新得町民に意見を聞いたが、拡張を望まない声
がほとんどであった。ところが町・町議会が積極的に推進しているので発言できない
人が多いのである。強行に推進しようとしているのは町行政・町議・商工会の一部だ
が、様々な圧力により町民の声をつぶそうとしている。話合いによらず圧力で押し切
ろうというやり方は占冠も同じである。リゾート開発は自然破壊だけではなく、民主
主義の破壊をも行うのである。
 アセスメントを行った事業で中止になったものはないと聞いている。このアルファ
リゾート・トマム開発事業ですら認めるアセスメントなら道民の信頼を失うだろう。
勇気を持って冷静な答申をして頂きたい。

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