議員定数削減について

 私は1994年4月8日、新得町議会に対して「新得町議会議員定数削減の見直し」の陳情書を提出し、5月16日には町議会で意見陳述をしました。
 我ながら正論だと思うのですが、町民に不評でした。そこで、次のような前文を添えて陳述書を印刷して、町内に新聞折り込み(3280枚)しました。
 私の議会陳情が採択された唯一のケースですが、やっぱり町民には不評なようです。

 「なんで議員定数削減に反対したの」「余計なことをしてくれた」「議員なんか1人でも少ない方がいいじゃないか」「町議は10人もいれば、たくさん」「2千万円モニュメントも無駄使いだけど、何で議員報酬を無駄使いと言わないんだ」…
 批判を受けるのは覚悟した上での「新得町議会議員定数削減の見直し」陳情でしたが、ずいぶんたくさんの批判や疑問を受けています。
 私も「議会に何も期待できないのであれば、議員は一人でも少ないほうがいい」と思います。でも、町民みんながあきらめてしまったら、本当に議会は形骸化してしまうことでしょう。私は「町民の代表として、きちんと活動してくれる議員が一人でも増えていくこと」に期待する方がいいだろうと考え、陳情書を提出しました。
 皆さんの共感を得るのは難しいとは思いますが、とりあえず私の意見全文(町議会で陳述したもの)を掲載します。ご意見・ご批判お待ちしています。(4-6893 芳賀)

陳 情 書

1994年4月8日

  新得町議会議長 橘井 良夫 様

〒081 北海道上川郡新得町字新内西1線125番地
芳賀 耕一
01566-4-6893

新得町議会議員定数削減の見直しについて

 現在、新得町議会において議員定数削減についての審議が行われていると聞きましたが、以下の理由により、現行定数20名の削減を行わないよう陳情いたします。

陳情の理由

 新得町議会は、100億円を越える町予算を定め、決算を認定する、条例の制定・改廃など、行政運営がきちんと町民の意向に沿った形で行われるための重要な役割を担っています。
 議員を削減することの町民に対するメリットは、新得町においては議員報酬など議会費の節減が唯一だと思いますが、議員定数2名削減による節約額は町予算総額の2000分の1程度でしょう。
 確かに、町民の中には議員定数削減を求める声があり、新得酒造公社問題に対する町議会の対応をきっかけとして、その声はかなり高まったと感じます。しかしながら、町民の本心は町議会議員の活発な活動を期待しているのです。私も、新得酒造公社問題に対する町議会の対応などを批判した一人ではありますが、町議会に対して活発な活動を期待する気持ちに変わりはありません。町民が議員定数削減を求めるのは、町議会に対して強い失望感を持っているからであり、町議会議員が議員報酬分の働きをしていないとのもっとも厳しい批判だと思います。
 町議会が町民の失望感に応えて議員を削減することは、町議会の存在価値を自ら矮小化するものです。町議会は、議員削減により町民の厳しい批判を和らげようなどと考えず、町民の失望感を払拭するよう、町議会議員各位の活発な活動により、その存在価値を町民に示して頂きたいと思います。
 新得町は、現在、農林業・商業・福祉・医療・第三セクター・リゾート・ゴミ処理など極めて多くの課題を抱えており、議員定数削減にもっともふさわしくない時期だと思います。20名の町議会議員各位がそれぞれ得意とする分野の知識や経験を生かし、町民の代表として積極的に問題解決にあたることが、民意の反映・新得町の発展のために必要だと思います。そして「町民の議員定数削減を求める声」に対する最良の答えにもなるはずです。
 新得町議会の活性化に期待します。

以 上


陳 述 書

1994年5月16日

  新得町議会議長 橘井 良夫 様

〒081 北海道上川郡新得町字新内西1線125番地
芳賀 耕一
01566-4-6893

新得町議会議員定数削減についての意見

 町議会の役割について、佐々木前町長は「町長の進める仕事を監視し、良ければゴーサインを出し、悪ければストップをかける作用を持ったものと思います。これを車に例えれば、議会はアクセルとブレーキの役割を持っていて、町政という車が暴走しないように、居眠り運転をしないように、正しいルールを守って町民のために町政という車を進行させるための大事な機関である訳です。どんどん前向きの意見を出していただき、町長を叱咤激励あるいはご批判などを賜るよう期待しています。」と町長メモに書いています。
 議会の役割の一つは行政を監視し、軌道修正することです。
 佐々木町長は、実力のある町長だったと思います。在任期間の後半は、サホロリゾート誘致、農道空港、そして数多くの第三セクター設立など、新規事業に果敢に取り組みました。車に例えればスピードが出るスポーツカー、あるいは力のある大型ブルドーザーでしょうか。どちらにしろ、新規に事業を行なう場合、大胆なだけでは失敗します。様々な意見をぶつけ合い、慎重に検討し、緻密な計画を立てなくてはなりませんし、見通しが立たなければストップをかけなくてはなりません。ですから、町長が積極的施策を行なう場合には、ブレーキやハンドルである町議会が、特にきちんと町政をコントロールすることが重要になります。
 町議会が町長を信頼しているにしても、きちんと意見をぶつけ合って、初めて町議会の役割が果たせるのです。町長と町議会が力を合わせるというのは、一つになることではありません。一定の距離を保って、初めてお互いがきちんと役割を果たせるのです。
 現在、新得町には新得酒造公社・農道空港・トムラ登山学校レイクイン・東大雪荘など、巨額の町支出にもかかわらず、経営に不安のあるものがたくさんあります。失礼だとは思いますが、新得町議会が町政をきちんと監視して来なかったから、順調だった佐々木町政も最後には暴走してしまったのだと思います。
 特に新得酒造公社問題をきっかけとして、多くの町民が町議会に対して大きな失望感を抱いたことは、議員の皆さん方が一番痛切に感じているのではないかと思います。町民は新得酒造公社の不正経理について明らかにして欲しかったのであり、何億円もの無駄使いをストップして欲しかったのです。ですから、多くの町民が議会に失望し、議員定数削減を求めるようになった気持ちはよく理解できます。
 しかし、それでも、やっぱり議員定数は減らさない方がいいと思います。今後、議員の皆さんが必死で活躍してくれて町民の失望感を払拭してくれるのだろうか、正直言って私も不安です。何も改善されなかった場合、今度は私が町民の批判の的になるかも知れません。仮にそうであったとしても、議員定数削減は町民の利益にはならないと考えています。
 一昨年の焼酎議会、議長を除く議員数は19名でしたが、新得酒造公社問題で質問し、町支出に反対したのは、たった2名です。町民の大半が「再建のための6億円支出は、町民の利益になる」と考えていたのであれば、民意が反映されていたことになりますが、皆さん方の支持者は納得していたのでしょうか。それに何よりも、議員の皆さん自身が、本当に再建可能だと考えていたのでしょうか。賛成討論された金沢議員を始め、立派な経営者の方が揃っていらっしゃるのですから、再建計画からかけ離れた現在の姿を予測できなかったとは思えません。議員の皆さん方にも色々な事情があったのだとは思いますが、現実として町民の意見を代弁できる議員が極めて少ないという実態があります。町議選の不確実さは皆さんご承知のとおりですから、議員定数を減らすということは、それが今度は1人になるかも知れないし、ゼロになるかも知れないということです。また、議員数が少なくなれば、議会内部の締め付けもますます厳しくなって、自由な発言はより困難になるでしょう。
 こんな事を言うと、議員定数削減に賛成する議員の方が増えるかも知れませんが、酒造公社問題も町民に知らされなければ、町長や町議会がこんなに批判を浴びることにはならなかったのです。もし自由に発言できる議員がいなくなれば、同様な問題があっても非公開で処理されます。ですから、この点については議員定数削減を求める町民の方に理解して頂きたいのですが、町民にとって議員定数削減は大きな不利益を及ぼす恐れがあります。

 議会の役割で何よりも重要なのは、民意を町政に反映させることでしょう。
 もし、多数決が民主主義だというのであれば、町議会は必要ないかも知れません。町長は過半数の町民の支持を受けているのですから、町長にすべてまかせておけばいいでしょう。議会も最終的には多数決ですが、大切なのは町民の様々な意見や要望を町政に反映させることです。たくさんの意見をいちいち取り上げていたら町政が成り立たないと考える人がいるかも知れませんが、佐々木町長はこんなことを言っています。「民主主義というものはもともと時間のかかるものなのです。」「各層からのマチマチの意見も考え方もぶっつけ合うことによって、よりよい方向が見い出されるのです。」 これが本当の民主主義だと思います。
 新得町は、現在、農林業・商業・福祉・医療・第三セクター・リゾート・ゴミ処理など極めて多くの課題を抱えています。どうやって、これを乗り切るのか、町民として不安も感じています。ですから、議員の皆さんがそれぞれ得意とする分野の知識や経験を生かし、町民の代表として積極的に問題解決に当たってほしいのです。皆さんの活躍が期待できるなら、一人でも多い方が智恵も多い訳です。ですから、皆さんの活躍こそが議員定数問題の真の解決策だと思っています。

 さて、具体的に議員定数を検討してみましょう。
 地方自治法の議員定数基準は、人口5,000人以上10,000人未満が22名、人口2,000人以上5,000人未満が16名などと決められています。この点について、「人口10,000人であれば議員定数22名が適当だが、それ以下であれば条例で減少すべき」という意見があります。グラフをご覧ください。人口10,000人の22名と人口5,000人の16名を、直線で結んでみました。新得町について計算すると、今年3月末の住民登録人口8,010人で19.6名になりますから、現行の議員定数20名が適正値という結果になります。

 下の表は十勝管内19町村について人口順に並べたものです。人口が減るに従って、人口1人当りの歳出額が増え、一議員当たりの人口数は少なくなっている事が分かります。人口の少ない町村では、地域経済などが行政に依存する割合が高くなり、議員の役割もそれだけ重要になっているという事でしょう。例外的に、人口は少ないものの財政規模が大きい士幌町の16名というのがありますが、新得町の現行議員定数は、その人口・財政規模から見ると、ほぼ十勝の平均的数字と言えるでしょう。
 以上、議員定数削減に数字的根拠は無いように思います。

 最後に、経費節減効果について発言します。
 町財政は限られていますから、無駄使いを無くし、切り詰められるところは切り詰めて欲しい。これはほとんどの町民の願いだと思います。そして議員定数削減の要望理由で一番大きいのは、この経費節減効果だと思います。議員定数を3名減らすと、年間で1千万円前後の経費節減効果があるようです。「行政の判断がいつも適切で、無駄使いが無い」という前提に立てば、この1千万円の価値は高いと思います。
 新得町の会計予算総額は 110億円です。はっきり言って、町民としては無駄使いとしか思えない支出がたくさんあります。例えば、あの重心の町モニュメントが、どうして2千万円なのでしょう。新得酒造公社・農道空港などを合わせると、無駄使いの総額は一体どれくらいになるのでしょうか。110億円が町民の利益のために有効に使われること、そのために皆さんが出来ることは、いくらでもあるはずです。それぞれの議員が議員報酬以上の仕事をしていれば、町民の誰からも文句は出ないでしょう。経費節減のための議員定数削減は本末転倒としか言いようがありません。
 もし本当に経費節減が必要なら、申し訳ありませんが議員報酬を引き下げて頂きたいと思います。以前、板垣商工会長さんが会合の席上「私も来年の町議選には立候補したいと思っております。私の公約は議員定数の増であります。定数を5割ぐらい増やしたいと思っております。ただし、議員報酬はゼロにいたします。」と言って会場をわかせたそうです。議員報酬が下がれば、選挙でお金を使う人もいなくなるでしょうし、議員の意識も変わることでしょう。とは言っても、議員報酬引き下げは現実問題として無理があるようですから、議員報酬に見合った働きをして頂きたいというのが、町民としての率直な願いです。

 以上、先輩の方々に対して批判がましい事も言わせて頂きましたが、これも新得町議会の活躍に期待しての発言と考えていただけるなら幸いです。
 拙い意見でしたが、最後まで聴いて頂き、どうもありがとうございました。

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